「ほら、今日は暑いんだからちゃんと食べろ」
「人ん家で偉そうに――!」
太一とじゃれあいながら朝食を食べていたら、玄関が荒々しく開いた。
「おばちゃーん! 俺にもご飯!」
「おはよー、奏くん」
弟が奏に挨拶をすると、ワックス片手に奏が入って来た。
「あのババア、洗面所占領しやがって。あんなに塗りたくっても変んないってーの」
どうやら髪型が決まらなかったらしい奏は、後ろ頭に寝癖を付けて、私の隣に座った。
「俺みたいに坊主にしたら楽だぞ」
「嫌だよ。頭の形が綺麗じゃないと、あれは似あわないんだぞ」
ウインナーに被りつきながら、奏は分かってね―なーとふてぶてしくため息を吐く。
「で? 俺への誕生日プレゼントは?」
「あんたねぇ……」
恋人になったはずなのに、この相変わらずさはいかがなものか。
――太一にも気づかれていない。



