どうしよう。
言うタイミングを逃してしまった。
でも、なんかキラキラ輝いて頑張っていて格好良かったな。
「深雪!」
自転車をゆっくり押して歩いていたら、前から誰かが走り寄ってきた。
「奏!」
寝癖にタンクトップ。
起きたそのままの格好のような姿の奏が汗だくで私の前で前かがみになって、息を吐き出す。
「どうしたの?」
「どうしたの?じゃないよ。ババアが深雪が帽子も被らずに出かけたとか言うからさ」
グッと頭に被されたのは、赤いキャップ。
お日様みたいな、奏の匂いがする。
「それで此処まで走って来たの?」
「うるせーな。心配だったんだよ」
真っ赤な顔で奏が口元を隠しながら、ぶっきらぼうに言う。
「太一には会えた?」
「うん。すごいよ! 格好良かった~」
「くそー。まあ、気が向いたら録画見るか。ほら、乗って」
奏が自転車の後ろをポンポンと叩いた。
後ろに乗ると、奏も乗って漕ぎ始まる。
その背中が、暑い日差しを浴びて温かくて、気持ちいい。
「かき氷でも食べる?」
「俺、何も持ってきてない」
「奢ってあげる!」
ここまで迎えに来て貰えて嬉しいし、太一のかっこいい姿見れたし、
――奏とこうして普通に接してるのが嬉しいから。



