試合は、太一の高校の圧勝だった。
最後まで、笑顔を見せず、破れた相手の高校に敬意を払っている太一は、さすが真面目君だと思った。
おばさんには会って行ってとは言われたけど、なんだか恥ずかしくて、遠い選手のように思えて、
こっそり自転車を漕いで帰ろうとハンドルを握る。
「深雪!」
「……? 太一!」
競技場の出口から、タオルを肩にかけた太一が走ってきた。
「見に来てくれたのか?」
顎に伝う汗をタオルで拭きながら、笑顔で言う。
さっきまでの引き締まった顔が台無しなぐらい。
「うん。見に来たら駄目って言ってたから、こっそり見てたのに」
「ああ。それね。深雪がもう平気だったなら見に来てくれても俺は嬉しいよ」
「……」
試合後でちょっとハイになってるのかしら。
何か、いつもとちょっと違う。
「おめでとう。 格好良かったよ」
肘でうりゃうりゃと突くと、目元をふんわりと滲ませて笑う。



