驚いて、声が裏返った奏が、呆然とその場に立ち尽くしていた。
抱きしめられた私と、離れようとしない太一。
「お前が深雪を幸せにしてやれないなら、俺はもう隠さない」
「太一、――は? 待って、どう」
「お前が深雪の気持ちに気づかない方が良いって、俺は相談に乗るふりをしながら時間稼ぎしてただけだ」
その先を聞きたくなくて、でも抱きしめられていて耳を防げなかった。
「大切な幼馴染でいる時間を、な」
奏が目を見開いたかと思えば、すぐに私の腕をひっぱり太一から引き剥がした。
「俺が、お前らを振りまわしてたって言いたいのか?」
「そう解釈するかはお前次第だ」
太一は落ちた紙袋を拾うと、少しスッキリした顔をしていた。
「これで野球に集中できるよ」



