【完】3ポイント・ホームラン!~夏空の下、貴方に伝えたい~



「おーい、買ってきたぞー」


両手いっぱいにペンキ筆を持った奏が走って来るので、二人で顔を見合わせて笑った。





少しだけ水を入れて伸ばしたペンキは、よく伸びた。


ヒビが入った灰色の壁を、青空のように塗って行く。


奏の頬に青空が付くと、奏は太一の頭に青空を付けた。


付け合い、逃げあう二人は、まるで小学生、――いやあの頃の子どもに戻ったように、無邪気で馬鹿で。


私は声を隠さずに笑った。


確かにあの頃には戻れないとか、変ってしまったと腐ってしまったけど、

変ったんじゃなくて、成長して心は広くなっただけで、

あの頃の記憶は忘れていないし、まだ心の一部にあるんだ。



こうやって簡単に記憶は思い出される。


二人のおかげで。


ちょっぴり胸が痛むのは、ペンキで塗られた空よりも本物の世界は広くて、

視野や選択が広がるから、離れたように感じること。



だから、好きだって気持ちを伝えて、広い世界の中、一緒に居たいって思うのかもしれない。