【完】3ポイント・ホームラン!~夏空の下、貴方に伝えたい~

「お前、ずっと深雪が好きだったのに気づきの遅いから心配だったんだぞ」


「うるせーな。ちょっとした誤解があったんだ」

「ありがとう。奏」


「はは。このタイミングでか」

奏の猫パンチみたいなふにゃふにゃの拳を、太一はグローブで受け止めながら笑う。

でも、自然な二人を見るの、嬉しい。

最初は太一の野球の試合も見に行かないだの、見に来なくていいだの、何だか二人に距離が合った気がしたから。


でも、男の子ってこんなものなのかな?

ベタベタしない、あっさりした関係。


幼稚園の頃の様な、キラキラした綺麗な『好き』じゃないけれど、
それでも、私は二人が、この空気が好きなんだと思う。


「そういや、ここ壊すから、落書きくらいはしていいってさ」

「へぇ」

「お小遣い厳しくて一個しか買えなかったけど」

さっきの押し入れの上の段に登り、天井をゴソゴソ開けて、奏が何か取りだした。

ドヤ顔で持ってきたのは、青いペンキだった。業務用って書いてあるような。

「お前、すげーな」

「どうせなら、派手にやりたいじゃん? 俺、誕生日だし」


「…筆は?」

楽しそうな企画ではあるが、ペンキ以外見当たらない。


「あ」

「あ、じゃないよ」

太一も呆れた顔で周りを見渡すが、何も見つからない。

奏は詰めが甘いんだから。