昔から馬鹿で、でも周りを楽しませるのが上手だった奏は、魅力的だったんだと思う。
何事にも、嘘を付かず全力で頑張って。
だから、私は奏のバスケのシュートをするフォームが好きだった。
太一は今みたいに、一歩下がって微笑んで見守ってくれている。
『わたしはかなじゃなくて、たいちがすきだよ』
そう言ったのは、本当だったはず。
他の女の子とはあまり喋らないし、遊ばない太一が、私には優しく話かけてくれて一緒に帰っていたから。
子ども心に、太一が居ない時に私に告白した奏が許せなかったのは、きっと。
「しかし、本当に何も無くなったな。壊されちゃうの寂しー」
既に移転して、ちょっと離れた場所に幼稚園は出来ている。
此処が壊されて、合併した高校の増えた人数用の校舎ができるだけだから、幼稚園自体は無くなったわけじゃないのに。
私が、大事にしたい、ずっと囚われていたい、そう願っている大好きな三人の思い出の場所が無くなるってことは、心に大きな穴が開くみたいに寂しく満たされないね。



