鬼神と少女

明海は現在大学2年生で一人暮らし。

1年浪人してやっと大学に受かった。

夏が近くなってきた頃、明海のところに誰かが訪ねてきた。

休日で遅くまで寝ていたらインターホンの音で目を覚ました。

寝惚けたままとりあえず玄関モニターのところへ向かう。

どちらさんでしょうか?

そう訪問者にモニター越しに尋ねる予定だったが、モニターの画面を見て明海は女の子ではなさそうな悲鳴を上げた。

画面には2つの目と眉毛しか映されておらず、誰だか判断つかない上にびっくりした。

つまり訪問者がインターホンのカメラに対しての顔の距離が近すぎたわけである。

そんなことお構い無しに訪問者はこう言った。

「あ、突然の訪問失礼します」

声からして男性と判断した。

そんなどアップでそんな丁寧にものを言われても困るしかない。

「お客さん、顔近いです」

明海はとりあえずそう伝えた。

声と目と眉毛だけで誰か考えたが、知り合いにこんなやついなかった。

どっかのセールスマンか?

「あ、ごめんなさい。ちょっと距離感が分からなくて」

(距離感が分からないのか…)

言い方からして多分わざとやってたわけではなさそうだが、その訪問者は変な人というレッテルは変わりなかった。

「どちらからお越しに?」

「4年前に1度だけお会いしたのですが、覚えていらっしゃいますか?」

やっとモニターからある程度離れて顔全体が把握できたが、明海には1度だけ会った人物かどうかすぐ把握できなかった。

「4年前…」

4年前の高校2年の1年間を早送りのダイジェスト版で脳内再生してみた。

「お名前は…?」

「その時名前教えてなかったんですよ。だから言っても解るかどうか定かではありませんが、塚越恭輔といいます」

全く知らない。

「どこでお会いしたんですか?」

「夏に〇〇県の〇〇市で…部員が神隠しに遭った件で同行させていただいた…」

「あ、あのときの」

あの人か。

一緒に部員を探してくれた恩人。

…え、ちょっと待てよ。