秋の扇


ほぼフルコースで水族館内をまわり終えると、時刻は夕方。

閉館のアナウンスが流れ始めた。

「はあ〜、疲れた..」

「あ〜すげー楽しんだわ」

満足げにケイが言った。

「ケイ走りすぎだから!..でも久しぶりに楽しかった。ありがとね、誘ってくれて。」

「..おう。」

「あ。照れてる。」

照れてねーし。なんて、いつもの調子で言い返されると思って冗談で言ったのに。

「......照れてるよ。。」

恥ずかしそうに手の甲で口元辺りを隠すケイ。

「.........え?」

なんとなく嫌な予感がした。