天使はまるで羽が生えてるんじゃないかってくらい身軽にひょいひょいと登ると、

あたしだったら絶対届かない松の上から、

いとも簡単に拾い上げた。


「ありがとうございました。

 と言うか、ごめんなさい。」


「はは……何で、あやまんの?」



「だって、約束のものだったのに、

 窓から落としちゃうとか、もう、ありえない」



「聞いた。持ち物検査で没収されたんでしょ?」


「え?どうしてっそれ?」


「だって、俺お前呼ばれてた時、職員室にいたし」


「ひゃあ、ホントに?」

「おまえってさ、ホント間が悪いっていうかドジっ子だな」

「ああっそうです。ホントなんて言うか、

 災害に巻き込まれに行っちゃうっていうか。

 もう、体質に近くて」

「ぶふっなんだよそれ」

「はは、お恥ずかしい限りで……」


恥ずかしいやら、情けないやら、

もう穴があったら入る勢いで、

頭から地面にめり込みたい感じ。


ふわり


え?


甘い香りにくるまれた?

顔を上げると

あたしはなんということでしょう、


天使に抱きしめられておりました。

ぎゃおおおん

突然のハグに焦りまくるあたしに、気がついた天使は、

突き放すようにあたしから離れた。

「わりぃ、俺、何やってんだ」

「あ、いえ、その、ありがたき幸せです」

べしっ

今度デコピン飛んできた。

「ばあか、怒れよ。でないとまた抱きしめるぞ」