そう言っているのに…
彼は大きな掌で首の付け根から肩甲骨の辺りを軽く擦るように手をサッサッと動かしている。
『手当て』って言うのかな?
掌からじんわり温かさが滲み出て気持ちがイイ
止めて下さいと言わなきゃいけない筈なのに…
ずっと続けて欲しくて黙って目を瞑り大人しくしている私はどうしたのだろうか?
急に彼の動きが止まり「これ何?」と見せられた物は肩に刺したまま取り忘れた蜂針
「あっ!」
合コンに参加する前に治療の為に訪問した『蜂針療法』
蜜蜂の針をピンセットで抜いて…
東洋医学で言うところのツボに蜂針をチクチクと刺したり抜いたりを何か所にも繰り返す『抜針法』と
症状の重い場所に蜂針を刺したまま置いておく『置針法』の2種類の治療を受けた私
肩の2か所と首の1か所に蜂針を刺したまま抜くのを忘れていたのだった…

