「ねぇ、行かないでよ」

男の袖を掴んで涙目になりながら言った

「ごめん……」

目を伏せながら、そういい残し

わたしは、取り残された。


『カット!』

「寧々ちゃん、義人くん、お疲れ様」

「ありがとうごさいますぅ♪」

「ありがとうごさいます」


寧々が上目遣いで、監督に礼をいい、それに続くかのように義人もクールな感じで礼を言った。



その場から義人が去ろうとしたとき


「あっ!藤崎さん!」

「…………」

「今日は、ありがとうごさいました。また、よろしくお願いします!」

「あぁ………」




そんなやりとりを見ていた


わたし 平瀬 里奈 〜Hirase Rina〜

アイドル志望だけれど、なかなかオーディションに受からない。


今は、寧々ちゃんのマネージャーをしながら、オーディションを受けては、演技をお勉強中!



「お水まだー?」

「はーい!」


寧々ちゃんは、私のことを下僕か何かに思っているのか、わがままだ。



はぁ、いつになったら私の本当の仕事出来るのかな?



「はい、お水!」

「えっ?」

急に目の前に私が買いに行こうと思っていたお水のペットボトルを渡された

「キミも大変だね」

「………?!」


顔をあげて、渡してくれた人の顔を見てビックリした!

だって………

目の前にいるのは

“RISH”の