ガラガラッ…




扉が開き、先生が入ってくる。



どうか…転校生はいませんように…!





そう心の中で願っていると、隣の松坂くんが手を握ってくれた。




その手はまるで"大丈夫だ"。

そう言ってくれているみたいで安心できた。






「え〜…
まず皆さんおはようございます」




まず…?



冷や汗が垂れるのが分かる。





「今日は、転校生を紹介します」




廊下から教室に入ってきたのは龍汰だった。





教室はキャーーーーという声でいっぱいになった。




…なんで…なんでうちのクラスなの?


なんで他のクラスじゃないの?




「はじめまして。堀田 龍汰です。これから卒業までよろしくお願いします」




龍汰が最後にニコッと笑うとまた教室は女子の黄色い声でいっぱいになった。





「えみ…」



松坂くんが私の名前を呼ぶ。



自分でも分かってる…



自分の手が震えてることくらい分かってる…!





やっぱり…



やっぱり怖いよ…!






恭子が殺された光景がフラッシュバックしてしまう。





もぅ…限界…




教室から抜け出そうとしたら急に意識が飛んでしまった。






最後に聞こえたのは松坂くんの"えみ!? "と呼ぶ声だけだった。