「って、何してるの……!」
珍しく桐谷くんが焦った声をあげる。あたしの突拍子の突進に、ビックリしたようだ。
「このドアを開けるんです!」
「だから無茶だって……」
「好きな人を守るために、無茶くらいさせてください!」
あたしの叫び声は、桐谷くんは言葉を詰まらせるには十分だったみたいで、彼は大きく目を見開いていた。
同時に、この教室に微かにしか聞こえなかった雨音が、さっきより強く増した気がする。
「なんであんたは、そこまでするの……?」
あたしのブレザーを手に持ったままの桐谷くんは、どこか困惑した様子で聞いてきた。
「あたしの本気を伝えるためです。桐谷くん言ったじゃないですか。
あたしが桐谷くんのこと好きだってこと、態度で示せって!」
「……別にそういう意味で言ったワケじゃ……」
「〝俺のこと、落としてみなよ〟って言ってくれましたよね?」
言い返すと、罰が悪そうに桐谷くんは目を伏せる。
初めてかもしれない。口で桐谷くんに勝ったのは。


