「だってあんたくらい図々しくなきゃ、今のこんな状況、耐えられないだろ。
そう思うと、泣き喚かないだけ幾分かましだと思うけど」
目を細めてふっと笑う桐谷くんに、胸の鼓動がトクンと跳ねる。
……ようするに、そのままでいいってこと?
プラス思考な方に解釈しちゃってるけど、桐谷くんから悪意は感じとれない。
これは素直に喜んでもいいのかもしれない。
どうしよう。桐谷くんの言葉ひとつで、感慨ひとしお。
すごく単純だけど、みるみるパワーがみなぎってくる。
元気100倍!奈乃パンマン!
「今ならあのドアも開けられる気がします!!」
「いらない闘争心に火をつけちゃったみたいだね。なんかごめん、謝るよ」
桐谷くんの憐れみのつぶやきは聞こえないフリをして、あたしは施錠されてるドアに向かって勢い良く体当たりした。


