「そこじゃなくてこっち」
「わわわっ」
そのまま吸い込まれるように、すっぽりと桐谷くんのあぐらの中におさまる。
向かい合う形で、触れてる部分からは桐谷くんの体温が伝わってきた。
桐谷くんはあたしの腰に手を回し、愛おしそうな瞳であたしを見つめる。
「……もう俺、待ちくたびれた」
甘い声でつぶやかれ、ドキリと胸が打ち震えた。
「……桐谷くん……」
「ね。それやめて、もっかいさっきみたいに呼んでよ」
「え?」
「母さんに言ってたみたいに、下の名前で呼んで」
……ええええ。
「あれは、緊張する……」
「なんで?さっきは普通に呼べてたじゃん」
「だって、挨拶だったから……」
「じゃあ、これを機に下の名前で呼んでよ」


