〝家族〟。
その言葉の響きに、胸がジーンと熱くなった。
思わず桐谷くんの方に顔を向けると、彼はおだやかに笑ってくれていた。
「あんたがよければ、食べて行ってよ。
この人、1度言うとうるさいし……」
「……はいっ!」
嬉しくて、幸せで……あたしは思わず大きく頷いた。
あたし、こんなにも優しいぬくもりなんて知らなかったよ。
教えてくれたのは桐谷くん……他でもない君だよ。
桐谷くんが、あたしに人の温もりを教えてくれたの。
それから桐谷くんのお母さんは、今日の晩ご飯はご馳走にしなきゃーなんて言いながら、楽しそうに雨の中、買い物に行ってしまった。
あたしと桐谷くんは、一通り濡れた制服を拭き終わると、いつものようにお部屋に向かった。


