真っ赤になって立ち尽くす奈乃を促し、俺たちは今度こそ並んで歩きだす。
一度だけ、先ほどまで須賀さんがいた公園を振り返った。
こないだ起きたことを糧にして、俺たちは今後もふたりで支えあって進んでいかなきゃいけない。
けど、まあ、とりあえず……2人きりになったら覚悟してて、奈乃。
一瞬でも須賀さんの口車に乗せられて、心を揺らがせたことは消えない事実。
だから二度とそんな不安に陥らないように、改めて俺が身体に想いを重ねてあげる。
誰にも甘えられない分、この俺が思いっきり可愛がってあげたいし、優しくしてあげたい。
そう思うから。
「奈乃、今日は思いっきり甘やかしてあげるから、俺に甘えていいよ」
「……ふぇっ!? ええええ!」
俺らしくもない発言に、目を丸くして素っ頓狂な声で叫ぶ奈乃に、思わず笑いがこぼれ落ちた。
……まあ、甘やかしてあげるって言っても、俺の愛情表現って、独占欲丸出しだから、この子が想像してるものとはだいぶ違う気がするけれど。
とりあえず、ふたりになったら思いっきり触れようと思う。
何も知らずにいる愛おしい存在の隣で、俺はひそかにそんなことを心に誓ったのだった。