後ろを振り向けば、今にも泣きそうな顔で、俺を見つめる奈乃がいた。
「また、感動してる感じ?」
「……だって、嬉しくて……」
俺はすぐに、奈乃のもとへと歩み寄る。
そして、そっとその顔を覗き込んだ。
「もういいんだよ。あんたはあいつらから解放された。
ひとりじゃない。中野にも市原にも……松岡にも、あんたは必要な存在なんだから」
「……うん……っ」
「あんな奴らに会う時間作るくらいなら、今いる友達とか……俺のそばにいて」
「……うんっ!」
奈乃はギュッと目をつむったまま、コクコクと頷いた。
それを見て思わず笑いそうになった俺は、タイミングを見計らってつぶやいた。
「じゃあ、帰ろうか」
「はい……!」
そして、俺たちは歩き始める。
だけどふとあることを考えて、俺はおもむろに彼女の手を握った。


