誰よりも周りに気を遣っているからこそ、誰よりももろくて……はかなくて……。
本当は弱音を吐きたいくせに、苦しいくせに、それを表に出さない。
そんな自己犠牲的なところが鼻につくけど、それも含めて、俺は奈乃のことが好きなんだ。
もっと自分を大切にしてほしいけど、きっと言ってもきかないだろうし、わかってくれないだろうから……俺が本人の分まで大切にしよう。
本音を言うと、俺は他人と距離を縮めることが怖かった。
境界線をなくすこと、怖かったんだよ。
でも、あんたと関わっていくうちに、自分にこんなにたくさんの感情があったなんて初めて知ったんだ。
〝自分〟を相手に見せることの恐怖とか不安とか全部、あんたが持ってってくれたんだよ。
あの頃のひねくれてた俺に、ひたむきに向き合ってくれたから……だんだんと俺も、押しに負けて……気づいたら、あんたのペースに巻き込まれていた。


