「あんたを見つけたのが俺で良かったってこと。だってそれがきっかけで、あんたは俺を好きになってくれたんでしょ？」



愛おしすぎて、思わず奈乃の不安そうな顔を覗き込んで見つめてしまう。


すると彼女は恥ずかしそうにほ頬を赤らめ、うつむいた。



……やっぱ、可愛いな。




「あんたに好きになってもらえなかったら、たぶん俺、ずっと徹のこと引きずったままで、今もひねくれてたと思う」



「そんなこと……」



「あるよ。……あんたがいなきゃ、俺はダメだった」




パッと顔を上げ、驚いてる表情をする奈乃。


だけどその大きな瞳から、またもやジワリと涙が溢れそうになってる。



……また、泣くのかな。


なんて、心の中で思った。



でもいいや。彼女のその涙が、たとえうれし泣きでも、悲しい涙だったとしても。



心の中に溜まってるものを、少しでも俺にぶつけてくれれば……それを受け止めれるから。