高校生になり、あたしは初めて恋を知った。
中学の知り合いはあまりいない、家から少し遠い学校を選んだ。
クラス発表で、教室の中にグループができ始めた頃、あたしは舞ちゃんと仲良くなり、移動教室を共にしていた。
そのとき、とある男子生徒とすれ違った時、あたしの心臓がドキリと音を立てた。
自然と目で追っていたんだ。
忘れられるわけがない。
目にかかる黒髪。整った顔。
少しだけ背が伸びた気がする……図書館で会った男の子。
……あの人だ。
同じ高校だということに驚いたけれど、嬉しい気持ちの方が当然大きかった。
きっと彼はあたしのことなんて覚えてないだろうけど、でも、そんなのどうってことなかった。
あたしさえ覚えていれば、それでよかった。
桐谷 修也くん。
君の名前を知るのに、そう時間はかからなかったよ。


