でも、今桐谷くんとふたりきりにはなれない。
絶対にあたしのボロがでてしまう。
「あたしは、ないです……」
うつむいたまま、逃げるための口実としてそう言った。
「俺がある。昨日の何?あんなんで俺が納得すると思ってんの?」
だけど桐谷くんは、それを許してくれないようだ。
もう場所なんて関係なく、みんながいる教室で話し出す。
……少しだけ、怒気を感じる桐谷くんの声。
当然だ。
あんな自分勝手なことされたら、誰だって怒るに決まってる。
……もういっそ、話しかけるのも面倒なくらい嫌われてしまってもよかったのに……。
「どうしても、納得してもらえませんか?」
「できるわけない。ちゃんと説明して。
なんで?」
「……なんでって……」
「俺は、昨日の言葉、あんたの本心じゃないような気がするんだけど」
「……っ!」