「交換条件だよ」
桐谷くんがつぶやく。
「……え?」
「あんたに俺の全部をあげるから、俺にあんたの全部をちょうだい」
「……なっ、うぁ……うぅっ……」
なんちゅー甘い囁き……!!
耳元で囁かれる彼の美ボイスは、破壊力がありすぎる……!
「なにその声」
ふはっと笑う無邪気な彼は、無防備極まりない。
その隙に漬け込みたいな……なんて、淡い下心を抱いてしまう。
だけどそんなの、桐谷くんの行動で阻止されるにちがいなかった。
隣に座っていた彼は、わざわざあたしの顔を覗き込むように見つめてきた。
夜で暗いからと言って、こんな間近で覗き込まれたら顔が赤いのなんてバレてるはず。


