キュン。
あたしの胸がまた騒ぎ始める。
そんなうれしい言葉を言われて、あたしが喜ばないわけがない。
少し恥ずかしいため、照れ隠しにさっきもらったうちわで顔を隠した。
「……? そのうちわ、どうしたの?」
桐谷くんが、あたしの手にあるうちわに目をとめる。
「あ、これは、さっき配られてるのをもらったんです」
「ふーん。ちょっとそれ、貸して」
暑いのかな?なんて思いながら、あたしは桐谷くんにうちわを手渡す。
あたしが扇いであげればよかったな〜なんて思ってるうちに、いつものように「奈乃」って名前を呼ばれ、桐谷くんの方へと振り向いたときには……。
――チュッ。
人通りの方には見えないようにうちわで隠しながら、キスをされていた。


