手を控えめに小さくひらひらしてみせる。



すると桐谷くんは、こちらに気づいてやってきた。




「ごめん、待った?」



「ううん、あたしも今来たとこ」



嘘。楽しみすぎて15分早く来ちゃったけど。



あー、それにしても、相変わらずかっこいいなぁ。


間近でこんな私服姿のイケメン桐谷くんを拝めれるなんて、あたしは幸せ者だ。




「……じゃ、行こ」



「あ、うん」



……浴衣に関しては、ノーコメントね……!


そうだよね。


桐谷くんにとっちゃ、着ているものなんてなんでもいいもんね……!




桐谷くんが先に歩き出しているので、あたしも慌てて隣に並ぼうとする。


しかし、履き慣れない下駄のせいで、うまく歩けない。



「……わっ、わわ」



ふらりと体が不安定になり、前のめりになりかけた。