部屋の中に入って、あたしは夢見心地で周りを見渡した。
そして、勉強机の上にある見覚えのある日記帳に目が止まる。
あ、これ……。
それは、以前あたしが手渡した徹くんの日記だった。
ちゃんと、ここに大切に置いてある。
あのラピスラズリのピアスとともに。
「……徹くん、きっと喜んでますよね。桐谷くんがまたバスケ始めてくれて……」
「…………」
背後にいる桐谷くんの気配を感じながら、あたしはポツリとつぶやいた。
「本当に優しい人ですよね。一度でいいから、会ってみたかったなぁ……」
こんなこと言ったって、無理だってことはわかってる。
でも、一度でもいいから、会ってお礼を伝えたかった。
あたしの好きな桐谷くんを、支えてくれてありがとうございますって。


