桐谷くんのお家は、すごく大きかった。
洋風建築で、2階建。
その2階にあるうちのひとつの部屋が、桐谷くんの部屋らしい。
「上がって」
「お邪魔します……」
なんだか今更、恥ずかしくなって、小さな声しかでなかった。
それでも桐谷くんの耳には届いたらしい。
どこか余裕そうな笑みで、あたしの頭をぽんぽんと撫でる。
「今、誰もいないから、そんな緊張しないで」
「は、はいっ!」
そう言われるも、あたしは緊張しながらはじめの一歩を踏み出した。
……あ、桐谷くんの匂いだ。
家全体から、桐谷くんの香りがする。
あたしの大好きな、それでいて落ち着く匂い。
全身がその香りに包まれてるようで、心が満たされていく。


