ふたりきりの帰り道。
「あたしばっかり好きで嫌になっちゃいます!」
思ったことを口にした。
「そのまま嫌になってくれていいよ」
「その方が嫌です!」
あたしはうーんと考えてみた。
どうすれば桐谷くんは、あたしに落ちてくれるんだろう?
「桐谷くん、好きなタイプの女性を教えてくれませんか?」
「……いいけど……」
隣を歩く彼は、こうやってイジワルな言葉で弄ぶクセに結局は優しいのだ。
ひっそりと歩幅を合わせてくれてることに、あたしが気づいていないワケがない。
「まずは、バカっぽくない人がいいかな」
ほうほう。バカっぽくない人!
「顔は美人な方が好み」
ふむふむ!美人ねー!
「あと、料理できる人」
頭に必死にメモをした。
………………。
「隣でそんなすごい顔しないでくれる?
今すぐ他人のフリしたいんだけど」


