「き、桐谷くん。あたしもう落ちないよ! だから荷物……」 「あんたの言葉は説得力がない」 ……でも、それじゃあ荷物持ちの意味がない気が。 むしろ桐谷くんが、あたしの荷物持ちになっちゃってるよ。 「ちゃんと足元見ておりてきて」 「……こっ!これはお礼というより、ご褒美をもらってる気分ですっ」 「そう思うんなら、もう危なっかしい行動はつつしんでほしいな」 キュン。 「……以後、気をつけます」 桐谷くんは優しい。 「わかればいいけど」 優しくされるたびに、あたしの好きは大きくなる。