「きっ……桐谷くん?」
手を引かれるまま、桐谷くんの体操着の後ろ姿に呼びかけるが、返答はない。
掴まれてる腕が熱い。全神経が、今はそこに集中していた。
渡り廊下を抜けて、少し歩いたところ。
水道があるところで、ピタリと立ち止まる。
……?
「目、真っ赤。充血する前に、早く顔洗いなよ」
振り返って、あたしにそう言った桐谷くん。
「あ、うん……!」
そうか……!
あたしそう言えばさっき、泣いてたんだ。
きっと泣きすぎたから、人にも見せれないような顔になってるに違いない。
お言葉に甘えて、水道水で目を洗わせてもらおうと思った。


