試合は一時中断となって、市原はコートから出て、救護係の生徒に湿布を貼られていた。
「参ったな……すごい腫れてるぞ、これ」
「いや、俺出れるって!」
同じクラスのヤツがつぶやくが、市原は足が痛々しいのに、頑なに試合に出ようとする。
「ダメだよ市原くん。足が悪化する」
中野が制すと、市原は渋々おとなしくなった。
「バレー出る男子を助っ人で呼ぶか……。でも女バレが終われば俺らのクラスが試合だからな〜……」
うな垂れるように、困っているクラスメイト。
俺は傍観者だから、ただぼんやりとその光景を眺めていた。
「……ここに、経験者がいるよ」
空気を割くように、澄んだ声でそう言ったのは中野だった。
中野は市原から俺に振り返ると、真っ直ぐに見つめて言い放つ。
「桐谷くん、バスケの経験者なんでしょ?」


