ユラユラと揺れているその瞳は、まるで迷子みたい。
ずっと何か深いところで、彷徨い続けている。
桐谷くんの内側に、もっと踏み込みたい。
……そう思うことは、迷惑だろうか？
ふとそんなことを思った。そのとき。
「……！」
桐谷くんがハッとして、我に返る。
すぐにあたしから体を起こすと、そのまま立ち上がって、あたしから離れた。
……あ、足音が聞こえる。
条件反射で、あたしもすぐに体を起こし、立ち上がった。
この部屋のドアがあく。
「たっだいまー！」
部屋に戻ってきたのはイッチーだった。他にも同じクラスの男子が数人いる。
この部屋の人たち……かな。
