……そ、そこ……?
いや、確かにあたしも、なんで目に入ったのゴミじゃなくてハチにしたんだろうって思ったよ?
ハチなんて目に入ったら痛すぎてヤバイもんね!
でも一度ついた嘘は、貫き通さないといけない。
「ほ、ホントだよ? さっき、ハチがブンブンって……そこ飛んでて……」
「膝、そんなに痛いの?」
「えっ?」
「泣くくらい痛いんでしょ?」
苦しい言い訳を必死に言ってみせたのに、桐谷くんに軽く聞き流された。
……でも。
ずっと無視したくせに。
あたしのこと避けたくせに。
どうしてこんなときに限って、心配してくれるの?
ずるいよ……。
「痛くない」
「嘘だ、泣いてる」
「これは違う……」
「何が違うの」
全部違うよ。
ハチが目に入ったっていうのも、そもそも泣いてる理由も、なにもかもが違う。


