だけどその間にも、スタスタとこちらに歩み寄ってくる足音が聞こえた。
見なくてもわかる。桐谷くんだ。
どうして……あたしが話しかけたら無視するクセに、放っておいてほしいときに近づいてくるの?
鼻をすする音と同時に、近づいてきた足音もとまる。
微かにだけど、周りの空気が変わった。
あたしは顔を覆う両手をおろす。
すぐ目の前に、桐谷くんがいた。
どこかふてくされた表情で、あたしを見下ろしている。
「……桐谷くん……」
「泣いてるじゃん」
今まで全然目も合わなかったのに、今はまっすぐに向き合ってくれている。
「ハチはさすがに無理あるでしょ。もっとマシな嘘つけないの、あんた」


