午後からの授業は移動教室ばっかりだった。


やっと最後の授業が終わり、あとは帰るだけ!




「あたしトイレに行きたいから、先に戻ってて」



「あ、じゃあ舞ちゃんの荷物も持ってっとくね」



「ありがと。はい」




――ドサッ。



手に持っていた自分の分の荷物上に、勢いよく舞ちゃんの分の物も積まれた。



そしてスタスタと先に行ってしまう舞ちゃん。なんてかっこいいんだろう。



遠慮のないとこがステキ。



あたしは舞ちゃんが大好きなのだ。




「あっ!」



でもそれと同じくらい、彼のことも好き。




「桐谷くん!」




あたしの横を通り過ぎて教室を出て行った彼の後ろ姿に声をかけた。