そういえば、さっき阿部さん達つぶやいてたな。
『みんな、他の子の部屋に行ってるんでしょうね』
おそらく、この部屋の男子も他の部屋に行ってるんだろう。
ということは、必然的にあたしと桐谷くんのふたりきりになる。
これはチャンスだ……。
あたしに背を向けたままの桐谷くん。
ぼんやりと、その背中を見つめていた。
桐谷くんが振り返ってくれる保証なんてどこにもない。
だけどあたしが行動しなきゃ、きっと桐谷くんは、ずっとあたしのことを避け続ける。
……あたしを守るために。
「桐谷くん、あたしを見てください」
「イヤだ。
あんたバカじゃないの? ここ男の部屋だよ。先生に見つかる前に早く出てって」
「出ていきません。桐谷くんがこっち見てくれるまで、あたしずっとここにいます」
「……はぁ。 見つかって怒られても、俺のせいじゃないから」
「うん」
「…………」


