桐谷くんは部屋の前に着くと、ドアノブを手にしてあたしにチラリと視線を向けた。
「いつまで着いてくんの?」
その冷たい眼差しも、拒絶するような態度も、本当は彼の優しさなんだと思うと愛しく思える。
「ずっとです。桐谷くんがこっち向いて話を聞いてくれるまで」
「俺、話すことなんてないんだけど」
「あたしはあるんです。だから、ずっと追いかけます。図々しいのだけが取り柄だから」
「あっそ。勝手にすれば」
そうして、本当にドアを開けて中に入ってしまおうとする桐谷くんを慌てて追いかける。
反射的に入り込んだのはいいけど、ここ、男子の部屋だよ……!!
しかし、部屋は暗く、シーンと静まり返っていた。
……あれ?
みんな、いない?


