――なんて、ふざけたことをしていたせいかもしれない。
「全く……いい年してはしゃぎすぎて、ぬかるんだ土に足を滑らせて崖から落ちるなんて……高くなかったからよかったものの……」
「す、すみましぇ〜ん……」
今日泊まる場所の旅館のロビーで椅子に腰掛け、あたしは救護の先生と向かい合っていた。
他のみんなはもう自分たちの部屋に行っていて、クラスの順番ごとにお風呂に入っているだろう。
「運が良かったと思いなさいね。
救急セット持ってくるから、ここで少し待ってなさい」
「はーい……」
しょんぼりした気分で、肩身が狭くなる。
先生の言ってた通り、登山で張り切っていたあたしは足を滑らせて崖から転落したのだ。
崖と言うほど高くもなかったから命に別状はないんだけど……。