「あ、あの……桐谷くん、苦し……」
「我慢しなよ。あんた、カミナリが怖いんだろ?」
桐谷くんの胸に、無理やりあたしの顔は押し付けられる。
心なしか、桐谷くんの心臓もトクントクンと早くリズムが刻まれている気がした。
それがとても、心地いい。
ちょっとだけ……盗み見。
ひょいっと顔をあげて見てみると、桐谷くんは顔だけでなく、耳まで赤かった。
「……桐谷くん?」
「っ! み、見んな……」
あたしの視線に気づいた桐谷くんは、咄嗟にあたしの目を片手で覆いつくす。
視界が真っ暗になっても落ち着いていられるのは、きっと、抱きしめる腕がこの上なく優しいから。
……あったかい。
体が冷えている分、桐谷くんの体温をより強く感じとれる。
あたしはそっと、甘えるように桐谷くんの肩に頭を預けた。
また以前のように手のひらで阻止されるかと思ったが、桐谷くんは何もしない。
むしろ、あやすみたいにあたしの頭を撫で続けてくれている。


