身代わり王子にご用心




「高宮さんは……わ、私の夢を知っているんですか?」

「詳しくは知らない。だが、アンタが悪い夢を見てるのは知ってた」


そう言って高宮さんは体を起こし、まっすぐに私のそばに歩み寄る。その場で膝を着くと、今までにないほど近くで私を見下ろした。


「小学生の頃から続いてる悪夢を、最近また見るようになった――違うか?」


あまりに自然に言い当てられ、私は何も返せず呆然と彼を見上げる。


妹にすら気付かれないように必死に隠し続けてきたのに……どうして。どうして他人のあなたが気づくの?


「……なんで?」

「なんで、か……」


フッと高宮さんはその薄い唇を微かに上げる。


「アンタが、忘れてるから」

「……?」


それこそ、意味不明だ。


私の悪夢と忘れてることがあることと、何の関係があるの?


それに、高宮さんは以前私と会った事はないと言ってたのに。私に忘れてるという。


一体どういうことなの!?