「高宮はどこ行った? 発注の数量について訊きたいことがあるんだが」


玩具売り場担当の別の社員がアルバイトに訊ねてたけど、みんな「知りません」と言うだけで、一様に行方がわからないみたいだった。


私が彼を見たのは4時間近く前だし、まさかまだ在庫チェックをしてるとも思えないから。特に何も言えずにバックヤードの倉庫に向かう。


ある程度の金額の雑貨や玩具や一部家電品なんかの高額な品は、鍵つきの倉庫に入れて別途管理がなされてる。二重ロックのそこは、事務所に行って鍵を借りないと開けられない。


事務所で台帳に目的と名前と所属と鍵の返却予定時間を記入する。30分もあれば終わるだろう、とあたりをつけて8時40分と書いておいた。


前に借りた高宮さんの返却予定時間は3時間前。ならいるはずないよね、と倉庫を開けば鍵はきちんとかかってたし。照明も落ちてた。


よし、と私はタブレット端末を使い在庫チェックを始めた。