『仕方ない。桃花が愛しすぎるのがいけない』
『私のせいですか?』
『ああ、この艶やかな黒髪も、さくらんぼのような唇も、暖かな色の瞳もすべてが愛しすぎる』
砂を吐くような甘い囁きをくれたカイは、人前にも関わらずまたも私の唇を奪った。
『ちょ、そこ! 子どもの前だから。教育上よろしくないでしょう~!!』
富士美さんがまたも吠えた。
『……って言うか、カイ王子! いったい何人桃花に産ませる気なのよ。全然桃花がレストランに復帰できないじゃないの』
『そんなのわかりませんよ。こればかりは天の配剤ですからね』
にっこりと笑ったカイの笑顔が……心底恐ろしい悪魔の笑みに見えたのは気のせいでしょうか?
『私としては桃花を愛した結果ですが。ああ……まだまだ足りないですね。早くあなたを感じたいのに』
そう言って、長椅子に座る私の腰を抱き寄せないでください! アラフォーになった今はその色気駄々漏れな艶めいた視線に耐えられませんってば。
『……双子が生まれたら、覚悟しておいて、桃花』
そっと囁かれた言葉は、あらゆる危険さを孕んでいて。
いったい私は何人子どもを産めば良いのやら。
今後私の身が持つかどうか……誰か教えてください!
本当に。
身代わり王子には、ご用心です!!
【終わり】



