身代わり王子にご用心







そして、待っていた瞬間がやって来た。


きゃ~!と絶叫のような叫び声があちこちから上がる。この時の為に待機していた何十人もの警備員に道を保護されてやって来る。


……遠くにいても、不思議と彼の足音が聞き分けられる。


本社の専務や外務省の高官にボディーガード、侍従長に囲まれたカイ王子が姿を現したのは、最後の上映開始5分前だった。


「や~! 本当に来たんだね、カイ王子が。にしても……何だか前より凛々しいというか……威厳が備わってないかい?」


身代わりの事実を知らない坂上さんに、どう説明すれば良いのかわからず曖昧に笑ってやり過ごす。


心臓が弾けそうなくらいにドキドキと高鳴り続けて、緊張からか体が震える。


……幼なじみであるマリアさんがカイ王子を引き留めて、ついでに私も話せるようになってるけれど。こんな大勢の人に囲まれた王子に、秘密にしたいような個人的な話が出来るのかな? と不安になる。


改めて現実を突きつけられたような気もする。あんな雲の上の身分の人に、平凡な庶民の私が告白していいものか……って。


(だめだめ! すぐ弱気になるのが悪いクセ。当たって砕けろって決めたばかりでしょう!)


ぶんぶん、と頭を振りすぎて少々貧血気味になってしまいましたが。