「そう……とてもいいと思う。朱里ちゃんが大人になるくらいまでに、実現できるといいね」
「そうですね。出来たら三十代のうちにお店を出せたら……って思います。それまではボーナスとかはぜんぶ貯金しますよ~!」
むん! と力強く腕を上げた藤沢さんは、決意が固いみたい。
「それまではがむしゃらに頑張ろうかな……って思います」
「えっ……結婚とかは?」
余計なお世話かもしれないけど、現実にはそういった問題もあるから。どうしても指摘しておきたかった。
もちろん、今は生き方が多様化してるから、無理に恋愛や結婚をする必要もないと思うけど。可能性は0と言い切れない。人生何が起きるか誰にもわからないのだし。
「もちろん、そうなったらなったで考えてます。一緒に貧乏生活を楽しんでくれる人が理想ですけど」
「え……桂木さんは?」
私が言うべきではないけど、どう見ても理想的な恋人になれそうなのに。私の言葉に、藤沢さんはニッと笑った。
「もちろん、あきらめませんよ」
「えっ?」
「そりゃあ、身分差はあります。だけど、最初からダメだとあきらめたら。何も手に入らないと思うんですよ。だから、振り向いて貰えるように精一杯がんばります。その上でダメなら、諦めますけど。
きっと、何もしないで諦める方が後悔すると思うんです」
藤沢さんの当たり前のようでそうじゃない言葉に、頭を殴られたような衝撃を受けた。



