身代わり王子にご用心




「桃花さん」


ベッドに座ったままの私を、藤沢さんがそっと抱きしめてくれた。


「泣いても、いいんです。会いたいのに会えない……って辛いですから」


藤沢さんの一言、一言が胸にズシンと響く。


……会いたい。


カイ王子に、会いたい。


「……会いたい……カイ王子に」

「うん……そうですよね。いちばん大好きな人だから、だからこそ会いたいですよね」

「うっ……う」


藤沢さんにとっくに気持ちがバレていた、ということよりも。申し訳なさも。カイ王子への想いの前に霧散してしまって。


藤沢さんに抱きつき涙を流しながら、ただ、会いたい……と。それだけを思った。