「俺とお前が“お友達”……ねえ」
私の発言を聞いた高宮さんは、なぜか唇を歪ませる。皮肉な感情や自虐が混じった笑いにも見えた。
「そう単純に割り切れれば、どれだけ楽か」
高宮さんは長い前髪を指でかき上げ、細い吐息を紡ぐ。憂いを帯びた眼差しに、どうしてか心臓がドカンと殴られたようなショックを受けた。
(な……何? どうしたの私!?)
アルコールだけじゃない熱が頬に増してきて、きっと今はすごく顔が赤いに違いない。慌てて誤魔化すようにシェリーグラスを手に取れば、それは高宮さんに奪われた。
「酔っ払い。せっかくの日なのに記憶をなくすほど飲むな」
そう言って彼はオレンジジュースを別のグラスに注いでくれる。確かに今は、その酸味がありがたかった。



