身代わり王子にご用心




「レアチーズケーキ~美味しいろ!」

「ほんとですね~あははは! ウケるぅ」


もはや何が何だかわからない状態の藤沢さんは置いておいて、私は桂木さんの隣に腰かけた高宮さんを見た。


「高宮さんは~ずっと前に、わらひと会ったことありまふ?」


普段の自分からは考えられないほど大胆な、後から思い出し身悶え間違いなしな質問を投げつける。


けど、高宮さんはこちらを見もせずに「いいや」と即否定した。


「期待を裏切って悪いけど、あんたと直に会ったことはないな」

「そっかぁ……不思議ろ。高宮さんろ瞳に見覚えがあるろに……」


ふわふわふわふわ。雲の上にいる気分の私は、無敵状態だった。


「それじゃあ高宮さんは、桂木さんとお友達れすか?」

「まあね。僕が一方的にまとわりついてるだけだけど、中学の頃からの腐れ縁さ」


桂木さんが隣の肩に手を置くと、高宮さんは容赦なくそれを払って「気持ち悪い」と毒を吐いた。