私もいつもの気後れが無くなって、どんな人とも遠慮なく話せそうだ。
「あたし~聞いたんですけど~桜花は年明けから、同棲するらしいですよぉ」
「へえへえ、ほおほお。桜花もやるろ~もひかして、授かり婚てやつかね」
「え~桜花は案外そういうのきっちりしてましたよ~。高校出るまでは、健太朗くんにキス以上許しませんでしたからぁ。今どきすごく奥手だけど~健気で応援したくなるんれすよね」
藤沢さんの言には私もウンウン、と頷いた。
「両親が亡くなった時、桜花はまだ12の中学生だったひ。それから10年もずいぶん色んな我慢をさせたり、寂しい思いをさせたひ。家計を助けるとアルバイトひながら、すごく努力ひて高校と短大を奨学金で出てくれたんろ。だから、大好きなひとと幸せにらって欲しいろ~」
桜花こそ、幸せになる権利があるはずだ。だから、と私はシェリーを飲み干して決意する。
「だから、わたひは桜花が幸せになるためひ。もっろ頑張るろ!」



