「これだけ教えてやったんだ、後は自分で考えろ」


いつものように突き放すのは、やっぱり高宮さんらしい。苦笑いが浮かんだであろう私は、ようやくバスタオルを離した。


「はい、出来上がり! 後は出来たらドライヤーで冷風を当てるのもいいけど」


私はバスタオルを畳みながら、嫌そうな顔をしているであろう彼を想像して吹き出した。


「ふふっ……高宮さんのキライなモノ3つ目ね。1つ目は梅干し、2つ目は針、3つ目はドライヤー……ふふふっ」

「……笑うな」


ムスッとした声で、彼がふて腐れていると分かる。いい年をして拗ねる子どもっぽい態度に、遠慮なく笑わせてもらったのだけど。


突然、視界がぐるりと変わった。


「えっ……?」


背中に柔らかい布団の感触があって、私を覆う影が落ちる。


けど、夢の影と違ってちっとも怖くはない。


何が起きたのか解らなくて目を瞬いていると、すぐ目の前に綺麗な顔が近づいてきた。


淡い色彩の瞳に視線が釘付けになっていると、それが近づいて唇に柔らかいものが触れる。


「……笑うな、と言った」


ぶっきらぼうにそう言った高宮さんは、覆い被さったまま私の顎を掴んで――噛みつくようなキスをぶつけてきた。